ときよとまれ

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消えた先人の影を追う 映画『オマージュ』

50年前に3作の映画を残し、消えた女性監督の映画フィルムを、3作目の興行も冴えず家事や婦人科系の病気に悩まされる現代の中年女性監督が探す。

とてもいい映画だった。

 

映画博物館からの依頼で主人公は、昔の女性監督の映画で、音声がない部分の音入れを請け負い、抜けているフィルムを探すことになる。その過程でかつての映画関係者に会い、その監督の人生をたどっていく。

女性のおかれている立場は今も昔もそれほど変わっていない、ということに直面しながら、それでも映画を自分の人生とすることを選びたい、二人の女性監督の姿に心打たれる。

 

とても美しいシーンが多い映画でもある。相棒のプロデューサーとがらがらの映画館で自作を観る、老いた映画編集技師を訪ね洗濯の取り入れを手伝いシーツをたたむ、取り壊し間際の映画館で天井に空いた穴からの光でフィルムを確かめる。

 

脇役にいたるまで、それぞれの人生と映画の関わりを感じさせ、とても丁寧に「映画と人生」を描いた作品だと思う。

 

 

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