イギリスのダイアナ妃が過ごしたある年のクリスマス3日間を寓話的に描いた作品。
ダイアナは、うまくいっていない夫チャールズとかわいい息子たちとともに、クリスマスの王室家族行事にのぞむが遅刻してしまう。ダイアナは、いつも遅刻。王室という特殊な環境に適応できない。
王室メンバーと、王室に仕える人々と過ごす、何もかも決められた自由のない暮らしはダイアナをすっかり蝕んでいる。いたるところに耳があり、話は筒抜けで、外にはパパラッチがたくさんいて、カーテンを開くと怒られる。近くに実家スペンサー家があるのに、朽ち果てて危険だからと立ち入りは禁止されている。
摂食障害で、食事もうまくとれない彼女は追い詰められていくが、それでも地雷原のような毎日を進んでいく。
ダイアナが車で、自分の足で進む場面が印象的。
支えになるのは、昔、王が別の女性と結婚したいがために処刑された妃アン・ブーリンと、信頼のおける衣装係のマギー。マギーはダイアナに愛を告白し、あなたには愛が必要という。本を通じてアン・ブーリンと共振するダイアナは、おとなしく首を差し出さず、逃げ出すことを決意する。女性たちの助けがダイアナを救うのだ。
クリスマス行事に反旗をひるがえし、ダイアナは、息子たちと邸宅を飛び出す。愛なき生活にやがて終止符を告げる予感とともに、映画は終わる。
プリンセス・ダイアナからダイアナ・スペンサーに、本来の自分を取り戻す物語だ。