ときよとまれ

みたもの、きいたものなどのまとめブログです(映画、演劇、展覧会 感想備忘録)

2023-01-01から1ヶ月間の記事一覧

そろそろ違う展開がほしい『すずめの戸締まり』

とても美しく良くできた映画だと思う。 しかし、これまでのテーマとはアレンジの違いくらいで、新しさがないのも事実だと思う。 少年と少女が現代日本を舞台に、不思議な現象により世界を救ったり救わなかったりする、という感じだ。 『君の名は』『天気の子…

聞き覚えのあるメロディ『モリコーネ 映画が恋した音楽家』

1960年代からずーっと映画音楽の最前線に立ち続けた巨匠の映画。 高齢になってもいい仕事をするには、健康が大切。 モリコーネも冒頭で運動してる。 長く映画を見てきた人の方がぐっとくるだろう。 音楽院の師匠や同輩は、映画音楽をよく思っておらず、疎外…

漫画も凄い、映画も凄いってどういうことですか?井上先生『THE FIRST SLAM DUNK』

とにかくみんな見たほうがよい。原作未読でもOK。 原作、アニメ履修者としては リョータくんが、あんなふうに試合にむかっていたなんて、知らなかったよー!という気持ち。 原作者自らつむぐドラマ部分もよいが、白眉は試合シーン。 透明人間になって実際の…

見えない敵を撃てるか 映画『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』

敵とは、男性中心の社会の構造。女性や弱い立場の人が、告発を怖れ、諦め、沈黙するのか「賢い選択」「合理的」「よし」とする社会の造りである。 本作は良くできた映画だが、原作にはあったその射程が失われているように思った。 記者たちの奮闘、口の重い…

毒展@国立科学博物館

内容はよいのだろうが、人が多すぎて、満足に見ることができなかった。 時間帯予約で、定員いっぱいの日に行った。人の頭を見に行った感じ。子どもさんも多く、「見えないー、見たいのにー」と泣いている子もいた。同感である。 展示室の設計の問題が大きい…

香港アクション映画の師匠たち『カンフースタントマン 龍虎武師』

いい映画。 映画産業で、これまでスポットライトの当たらなかった人々を取り上げた映画が最近多いが、これは香港アクション映画のスタントマン(武師)に取材したドキュメンタリー映画だ。 ブルース・リーやサモ・ハン、ジャッキー・チェンなどがつくった往年…

老人の肌の見応え 諏訪敦「眼窩裏の火事」@府中市美術館

写実絵画というと、若く美しい女性などを精緻に描くようなイメージがあったが、「眼窩裏の火事」で、最もよかったのは老ダンサーの裸体を描いた作品だった。 たるんだ皮膚、点在するシミ、皺深い顔、ぼんやり空いた口の闇。その人自身としての身体、存在とし…

よい目をしている『ケイコ、目を澄ませて』

映画は動きを見るものだと、再確認されてくれる。 岸井ゆきの演じる耳の聞こえないプロボクサー、ケイコの練習の動き、ジムの練習の音(振動)が気持ちいい。 三浦友和演じるジムの会長が、ケイコを語るとき、「じいっと見ている。目がいい」というが、彼女に…

魔法より筋肉『ブラック・アダム』

最恐最悪のダークヒーローといいつつ、安心して見られる。 その昔、王の圧政に苦しみ、今は軍に制圧されている街の民衆を守るヒーロー的存在、ブラック・アダムにドゥウェイン・ジョンソンが扮する。 たしか予告では、最恐魔術師とうたわれていたが、魔法な…

ここが夢の国か『クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ』

ファッションに一ミリも興味がない人も、たぶん楽しい空間。 展覧会好きは必見ではなかろうか。 とにかく、別世界に誘う展示空間のリッチさ。 纏う人をプリンセスにするのがディオールの服なら、展示物のポテンシャルをひきだし、ゲストを魅了するのが今回の…

一生遊んで暮らしたい、という気持ちを強く持つ

新年の抱負は『一生遊んで暮らしたい、という気持ちを強く持つ』。 とかく効率主義、合理主義、業績主義に染まりがちなので、無為を楽しみ、遊びを大事に過ごしたいと思う。 そんなわけで、映画を見て、展覧会に行き、舞台に通い、本を読みたいのだが、最近…

果報はふて寝して待て『ミセス・ハリス、パリへ行く』

とてもかわいらしく、美しいものを見る歓びにあふれた映画。 通いの家政婦さんミセス・ハリスが、いつも堂々として、まっすぐ夢見てるのが素敵だった。夢とはディオールのドレスを買うこと! パリは労働者が主役の街というセリフの通り、紆余曲折の末、現金…