ときよとまれ

みたもの、きいたものなどのまとめブログです(映画、演劇、展覧会 感想備忘録)

展覧会

国立アイヌ民族博物館 プンカㇻ協働展示「アイヌの建築と工芸の世界- チセ、マキリ、アットゥㇱ -」@国立近現代建築資料館

チセは、アイヌの言葉で家のこと。 アイヌの伝統的な建築、工芸、素材となる植物などを取り上げた展示。鞘や柄に彫刻が施されたマキリ、木の繊維で作られた布など、建築だけでなく、家のなかにあったもの使われたものも、さまざま見られる。 展示の冒頭や、…

「ガラスの器と静物画」@オペラシティアートギャラリー

「ガラスの器と静物画 山野アンダーソン陽子と18人の画家」をみた。 ガラス作家山野が、画家が言葉で表現したガラスの器をつくり、画家はそれを描く。ガラスの器と絵、写真の展覧会。 なんだか相互作用の不思議さ、言葉で描かれたガラス器が実体化している不…

わからず「繡と織」@根津美術館

展示点数少なめ、わたしには良さがいまいちわからなかった。 庭も含めて楽しみたい人向けかな。 www.nezu-muse.or.jp

よくわからない、そこがいい「白井美穂 森の空き地」@府中市美術館

好きそうな雰囲気だったので、見に行ったが、 正直、ぜんぜんピンとこなかった。 でも、それでよいのだと思う。 現代の人間の世界は、わかりやすいものがたくさん流通していて、わからないもの、わかりにくいものは黙殺されている。 わからないものが、世界…

「豊嶋康子 発生法ー天地左右の裏表」「MOTアニュアル2023」@東京都現代美術館

「豊嶋康子 発生法ー天地左右の裏表」 一人の人がこの社会のなかで生きている、そのこと自体が社会に痕跡を残し、世界を変容させ、新たなものを生成する。 言われてみれば、それはそう、という感じなのだが、作品「書体」を見てちょっと感動した。 豊嶋さん…

極彩色の悪夢「見るまえに跳べ 日本の新進作家vol.20」@東京都写真美術館

今年はそんなに溜めずにサクサク書いていきたい。 新進写真家の展覧会だが、最後のうつゆみこが凄かった。キッチュで悪夢的な写真。被写体の取り合わせが、気持ち悪くてとてもよい。 展覧会では、普段見られないような「変なもの」を観たいので、大変満足し…

「パルコを広告する」 1969 - 2023 PARCO広告展 @PARCO MUSEUM TOKYO

時代を遡って、パルコの広告と時代文化にせまる展示。 パルコのポスターのほか、各年代のゲストキュレーターの対談映像もあり、見ごたえがあった。 パルコのイメージ、かなり変遷しながらも時代の先端であったのだが、今後はどうか。 art.parco.jp

いきてるところを見たいテオ・ヤンセン展@千葉県立美術館

テオ・ヤンセンが創造するビーストと呼ばれる風を食べて動く機構アートの展覧会。 展示室内では、動かない化石となったビーストの実物と動いたときの映像、テオ・ヤンセンのスケッチ、ビーストのパーツなどか見られる。 一日に何回か、ビーストを動かすパフ…

展覧会 「至高の紫 典雅の紅 王朝の色に挑む」@岡崎市美術博物館

源氏物語に出てくる衣装の色、襲(かさね)を、古代の染色を再現して見せる展覧会。 色は直に見るにかぎるが、この展示はとくにそうで、濃淡や光のとおし具合など、その場で見られてよかった。 影響されて、染め物を始めた。 染めるのは手間暇がかかり、濃い色…

生誕120年 安井仲治@愛知県美術館

関西で活躍した写真家、安井仲治の作品を一挙展示。 今見てもかっこいい。 デジタル合成がない時代、どのように複数の画像を重ねていたのか。 技法についても、会場の小冊子でわかりやすく解説されていて、理解がはかどった。 www-art.aac.pref.aichi.jp

見る異化作用「福田美蘭―美術って、なに?」@名古屋市美術館

動かす、別の角度から見る、固定観念を払う。 全体がそんな作家のコンセプトに貫かれた展覧会。 おもしろかったが、他の作家の作品のなかに福田美蘭作品がある方が、そのものの見方のぎょっとさせる力が強まるのでは、と思った。 art-museum.city.nagoya.jp

「クーばあちゃんの魔法の花空間~庫淑蘭切り絵展~」@日中交流会館

中国の伝統的な切り絵と共通したモチーフもありつつ、オリジナリティと精巧な画面構成で芸術の域に達した庫淑蘭の作品展。 陝西省農村部の民俗行事の様子や、モチーフも面白い。 庫淑蘭の作品が認められたのは、最近だからか、過去の作品は状態があまりよく…

生誕100年 山下清展ー百年目の大回想@SOMPO美術館

ドラマ「裸の大将」のイメージが強い山下清の、人生と画業をそのまま伝えようとする展覧会。 貼絵以外の油絵や、陶器への絵付けなどの作品も展示されていた。 貼絵は実物をみると、その精巧さに感動する。 山下の旅の日々を感じられた。 www.sompo-museum.org

2023年 よかった展覧会

今年は62展覧会を見た。 人気展覧会は早めに見に行くことが大切だと、年始のディオール展で肝に命じた一年だった。 よかったものをご紹介。 「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」@東京都現代美術館 早めに見てよかった大賞。夢のような展時空間。 …

生活は美たりうる「暮らしにとけこむ型染 ―芹沢染紙研究所の仕事―」@芹澤銈介美術館

「365日の献立日記」を見ていたら、もとになった沢村貞子さんの献立日記が映された。それは芹沢銈介の型染めカレンダーで丁寧にカバーされていて、その図案がすてきで、いつか美術館にも行きたい、なにか芹沢の図案のものがほしい、と思っていたのだった。 …

「糸で描く物語 刺繍と、絵と、ファッションと。」@ 静岡県立美術館

すごくよかった、というおぼろげな記憶。 最初に民族衣装に見られる刺繍など、続いてアートや現代のファッションとしての多彩な刺繍を展示。 人の手と時間がどれほどかかるのか、わからないほどの手仕事の見事さ。 ポスターにも使われている大塚あや子(刺繍…

夢の感覚「倉俣史朗のデザインー記憶のなかの小宇宙」@世田谷美術館

インテリアデザインの先駆者、倉俣史朗のいろいろな作品が見られる展覧会。 倉俣が残した夢日記やデザインラフが展示されているが、あまり細かいところまで詰めずに、思いついたときのイメージ、造形をそのままに制作していくらしい。 だからか、どこか浮遊…

「石川真生 私に何ができるか」@オペラシティアートギャラリー

大琉球写真絵巻が圧巻。 沖縄に生まれ、沖縄に生きる人々、沖縄の基地にやってきたアメリカ軍人とその家族、基地に反対する人々を撮ってきた写真家、石川真生の東京では初の大規模展覧会。 撮影者が感じられない写真ではなく、すべてにおいて、一人の人間・…

眼福「コスチュームジュエリー美の変革者たち  小瀧千佐子コレクション」展@パナソニック汐留ミュージアム

古典的なデザインを脱し、宝石や貴金属を素材とせず、新しい造形、素材の組み合わせで、革新的な美を表現するコスチュームジュエリー。 20世紀に花開いた、その魅力をコレクター小瀧千佐子の蒐集品で見せる展覧会。 眼福である。 必ずしも高価ではない素材が…

名品しかない時間がいくらあっても足りない「特別展やまと絵」@東京国立博物館平成館

どこを見てもよいものばかり。見ごたえしかない。 会期中、展示替えもかなりあり、どこで見に行くのか、何回いけばいいのか悩ましい。 第一期は「鳥獣戯画(甲巻)」「伴大納言絵巻」「信貴山縁起絵巻」「源氏物語絵巻」の四大絵巻が揃い踏みするので、ひとま…

すっきりと「イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル」@国立新美術館

ファッションは流れ去っていくが、スタイルは永遠となりうる。 というのは、イヴ・サンローランのことば。 ディオールの急逝により、若くしてブランドのチーフデザイナーとなったイヴ・サンローラン。最初のコレクションで高い評価を得るが、ほどなく徴兵さ…

かわいいおしゃれかっこいい「大正の夢 秘密の銘仙ものがたり」展@弥生美術館

眼福の展覧会。 女学生など若い女性から一世を風靡したモダンで鮮やかな柄が特徴の銘仙。 コレクター桐生正子氏の集めた銘仙が、大野らふ氏による当時のバッグや日傘までイメージしたコーディネートで見られて、展示点数のわりに見ごたえのある展示である。 …

ジャム・セッション山口晃 「ここへきて やむに止まれぬ サンサシオン」、創造の現場ー映画と写真による芸術家の記録@アーティゾン美術館

ジャム・セッション山口晃 「ここへきて やむに止まれぬ サンサシオン」 山口晃によるセザンヌ鑑賞教室が白眉。 雪舟もある。近づくと見にくいように照明されており、遠くから見て近づきたいと思うと霞む幻の風景だった。 全体に山口晃は作品も見事だが、言…

個人美術館のよさ「シャガール展」@静岡近代美術館

静岡で衣料品店とパーキング業を営むという大村明氏の個人コレクションの美術館。 静岡駅から程近い、閑静な住宅地にある。 内外の近代絵画がメインで、行ったときはシャガールの展示をしていた。ほかにも梅原龍三郎、レオナール・フジタなどの絵もあり、二…

美術館はすごいが、、@MOA美術館

熱海は若者の町。というほど若い人が多かった。 MOA美術館は世界救世教の美術館。本部に隣接している。創始者岡田茂吉が芸術も好んだということで、いろいろ名品があるらしい。「顕神の夢」展に続き、宗教者と芸術の関わりを見る。 「紅白梅図屏風」は2月だ…

わからないという自由「あ、共感とかじゃなくて」@東京都現代美術館

わかりそうで、わからなくて、でもそれもいやではない。 そんな気分になる展示。 印象に残ったのは、就職フェアのような企業ブースを模した有川滋男の作品。一見してわからない仕事をしている動画が流れていて、わからないけれど、当事者にとっては大切な仕…

宛先の強度「あなたのアート誰に見せますか?」@東京芸術大学陳列館

明確な宛先があるものは、届きやすいのか。 そうでもないのでは、というのが本展の感想だが、私が宛先になっていなかっただけかも知れない。 メラニー・ボナーヨの作品が強烈なのは、身体感覚のある者すべてに訴えかけて来るからだろう。ネット上の感想をい…

「虫めづる日本の人々」@サントリー美術館

虫と虫に関わる人の営みを描いた絵や蒔絵など日本の美術館を集めた展覧会。 入ってすぐ虫の声が聞こえて典雅な気分。 植物の絵に蝶以外の虫もいろいろ書き込まれているのは、ふだんあまり意識していないので面白かった。 また、虫取に興じる女性たちを描いた…

「出来事との距離-描かれたニュース・戦争・日常」展@町田市立国際版画美術館

印象に残ったのは、ゴヤがスペインの対仏独立戦争を描いた『戦争の惨禍』と松元悠が実際のニュースをもとに描いた作品。 見聞きしたニュースを自分がさらに他の人に伝えるとき、表現によって、ニュースは変化する。絵でなくても、ちょっとしたことば遣いで内…

小さいものは小さいまま「デイヴィッド・ホックニー展」

小さいものは小さいまま見せる方がよいのでは、と思った。 ipadで描いた絵はとくに、実寸の方がたぶんだいぶよく見えるはずだ。 壁画や大きな絵も、遠くから、見る方が、いい絵に見えると思う。 細かく見ると、とてもざっくり描かれているのに、遠くから全体…