名品しかない時間がいくらあっても足りない「特別展やまと絵」@東京国立博物館平成館
どこを見てもよいものばかり。見ごたえしかない。
会期中、展示替えもかなりあり、どこで見に行くのか、何回いけばいいのか悩ましい。
第一期は「鳥獣戯画(甲巻)」「伴大納言絵巻」「信貴山縁起絵巻」「源氏物語絵巻」の四大絵巻が揃い踏みするので、ひとまず見てきた。「伴大納言絵巻」は10月22日まで。
「鳥獣戯画」「伴大納言絵巻」「信貴山縁起絵巻」は同じ並び一列にで展示されているので、ここがすごく混む。なかなか進まないが、じっくり見られるのはよい。
「伴大納言絵巻」は都の変事に集まる武者たち、あがる火の手、臨場感あふれる劇的な絵巻だった。人々の表情が豊かなのも印象的。炎の表現もすごい。
「信貴山縁起絵巻」は法力で米蔵と米俵を飛ばすエピソード。時空が横に移り変わっていく絵巻の面白さ、構図の巧みさが感じられる。
ほかにも「病草子」(不眠症は昔からあるんですね、口から糞が出る病気とはいったい何)、「辟邪絵」(朝夕に悪鬼を食べる神虫というが見た目が怪獣)、「天狗草子」(仏教の権力者たちが天狗に見立てられた批判の絵巻)などなど、見ごたえしかない。
金と鮮やかな彩色できらびやかな四季花鳥図屏風(狩野元信筆)もよかったし、筆の線だけで描かれた白描画もとてもよかった。
墨だけで描いた白描画の女性の黒髪が、何だか凄かった。髪の筋の繊美しさ、ハイライトが入っている訳でないのに、艶やかに見える不思議。白黒で濃淡もなく、筆の線だけで表現される美。肉眼で見られてよかった。
単眼鏡を持っている人が結構いた。絵巻ガチ勢だろうか。閉館間際に絵巻のところに戻ってきて見ている人もいる。
混雑状況にもよるが、じっくり見ると三時間くらいかかりそう。
そして物販もいろいろあって見逃せない。
絵巻の抱き枕が二種類あり、絵柄は「鳥獣戯画」と「百鬼夜行絵巻」。巻物に巻かれて眠れるのは心惹かれるものの、15000円と値が張るので、買う人いるのかなと思っていたが、実際持ち帰っている人を見た。「鳥獣戯画」は受注生産らしい。グッズの力恐るべし。ほかにも、「百鬼夜行絵巻」のもののけのぬいぐるみ(赤目とか猫又とか)や、「信貴山縁起絵巻」で空を飛んでいた俵のクッションなど珍奇なものがたくさんあった。