ときよとまれ

みたもの、きいたものなどのまとめブログです(映画、演劇、展覧会 感想備忘録)

2023-03-01から1ヶ月間の記事一覧

清々しいぞ 映画『ベネデッタ』

少女の頃に修道院に預けられ、信仰と共に生きてきたベネデッタは、あるとき神のヴィジョンを見て、聖痕を授かる。 それは偽りか真か。 近世の修道院生活を見ているだけで、だいぶ楽しい。 ベネデッタは、修道院に逃げ込んできたバルトロメオと親密になるが、…

❰独占❱によるコンテンツ影響力低下について

Netflix、Disny+、WOWWOWなどでは話題作や人気作品の映像化を独占配信・放送することで、会員数を増やそうとしている。 配信、放送業者にはそれが最適解なのだろうが、コンテンツと視聴者には分断がひろがっているように思う。 一方、マンガでは電子書籍で…

ひらかれた部屋は世界と同じくらいひろい 展覧会「部屋のみる夢」 @ ポーラ美術館

エドゥアール・ヴュイヤールの描く親密さに満ちた部屋、 ヴィルヘルム・ハマスホイの描く底知れぬ他者がいる部屋、 無人であっても、部屋には人の気配が色濃く移る。 時代や社会や人間が部屋には反映されるのが面白い。 日本のアーティストの作品が、…

消えた先人の影を追う 映画『オマージュ』

50年前に3作の映画を残し、消えた女性監督の映画フィルムを、3作目の興行も冴えず家事や婦人科系の病気に悩まされる現代の中年女性監督が探す。 とてもいい映画だった。 映画博物館からの依頼で主人公は、昔の女性監督の映画で、音声がない部分の音入れを請…

オスカーおめでとう! 全部入りマシマシ映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

いろいろな要素がものすごい量ごちゃごちゃ入っているが、なんだか渾然一体となってまとまっている。家族第一主義的なところはどうかと、ちょっと思うが、面白い映画だった。 以下ネタバレ。 1人の中年女性が、選ばなかった道、あり得た人生の数だけ分岐し…

技の芳幾、熱の芳年「芳幾・芳年―国芳門下の2大ライバル」@三菱一号館美術館

とても見ごたえがある展示。 浮世絵からでて江戸末期から明治初期に武者絵や新聞画でも活躍した二人の絵師の画業を時代を追って展示している。 芳幾はなんでもうまく描くがが熱意に欠ける、芳年は不器用だが熱を感じる、と当時の評論に書かれていたが、うま…

音楽に全振り 映画『BLUE GIANT』

音楽は大変よいが、音楽シーンのCGが良くない。 映画館の音響で聞いた方がよいが、大画面で演奏シーンを見ると、ところどころキツい。 ここ一番で音楽に映像が負けている。 原作未読だが、人間ドラマも過不足なくまとまっていて、よかっただけに残念。 直近…

女と魔神は囚われの身 映画『アラビアンナイト 三千年の願い』

宣伝文句よりだいぶ堅実な映画だと思う。 絢爛豪華、摩訶不思議な感じを期待していくと、肩透かしをくらうかも。 物語研究者が、シンポジウムで行ったトルコのバザールでアンティークの青い小瓶を買う。ホテルに帰って、洗っていると蓋がとれ、中からジン(魔…

死んだ人間に値段をつける『WORTH 命の値段』

9.11のテロで亡くなった人々の遺族のための補償金プログラム。その特別代理人になった弁護士と同僚たちが、前代未聞の難題に挑む。 テロ攻撃されたワールドセンタービル、ペンタゴン、そして墜落した飛行機では多くの人が命を落とした。その遺族にいくら支払…