少女の頃に修道院に預けられ、信仰と共に生きてきたベネデッタは、あるとき神のヴィジョンを見て、聖痕を授かる。
それは偽りか真か。
近世の修道院生活を見ているだけで、だいぶ楽しい。
ベネデッタは、修道院に逃げ込んできたバルトロメオと親密になるが、それが糾弾され、火あぶりになりそうになる。
しかし、ベネデッタはまったくくじけないで、悪びれもしない。
ベネデッタのなかでは神への愛もバルトロメオへの愛も、神が与えたものだからだ。
その迷いのなさが、どうかしてるが、気持ちいい。
見たあとは、とても清々しい気分になる作品。
クライマックスに火あぶりや、処刑台で主人公が死にそうになり、民衆が大暴れしてカタルシスに至る映画、『パフューム』や最近は『RRR』のむち打ちなど思い浮かべるが、日本ではあまり思い出せない。
西洋では、キリストの磔刑のイメージなのだろうが、日本だとまずそのまま刑に処されてしまったり、切腹するような気がする。
赤穂浪士も、殿様が死んだあとに行動を起こす。
歴史物でお上の決定を実力でくつがえす物語が、どこかにあるのだろうか?