ときよとまれ

みたもの、きいたものなどのまとめブログです(映画、演劇、展覧会 感想備忘録)

2023-01-01から1年間の記事一覧

サインは大切映画「ロストキング 500年越しの運命」

よかった。事実をもとにした物語。 責任者として公文書にサインすることはホントに大事。 culture-pub.jp

「パルコを広告する」 1969 - 2023 PARCO広告展 @PARCO MUSEUM TOKYO

時代を遡って、パルコの広告と時代文化にせまる展示。 パルコのポスターのほか、各年代のゲストキュレーターの対談映像もあり、見ごたえがあった。 パルコのイメージ、かなり変遷しながらも時代の先端であったのだが、今後はどうか。 art.parco.jp

荒唐無稽と思いきや 映画「ハント」

「イカゲーム」でブレイクしたイ・ジョンジェの初監督主演作。 韓国の情報部を舞台に、北朝鮮のスパイ探しと外遊先で次々起こる要人襲撃の阻止のために二人の男が対決する。 どんでん返しと迫力のアクション、情報機関の人びとの人生、そして韓国、北朝鮮の…

舞台「悼むば尊し」かわいいコンビニ店員飯田さん

高校のころ、放課後つるんでいた仲間たち。時がたち、一人が亡くなり、ダベっていた部屋の片付けを頼まれる。再会した彼ら彼女らはは、亡くなった彼を偲ぶが、思い出話は思わぬ方向へ転がっていく。 ラジオを聞いて興味を持ち、観に行く。とてもよかった。 …

いきてるところを見たいテオ・ヤンセン展@千葉県立美術館

テオ・ヤンセンが創造するビーストと呼ばれる風を食べて動く機構アートの展覧会。 展示室内では、動かない化石となったビーストの実物と動いたときの映像、テオ・ヤンセンのスケッチ、ビーストのパーツなどか見られる。 一日に何回か、ビーストを動かすパフ…

展覧会 「至高の紫 典雅の紅 王朝の色に挑む」@岡崎市美術博物館

源氏物語に出てくる衣装の色、襲(かさね)を、古代の染色を再現して見せる展覧会。 色は直に見るにかぎるが、この展示はとくにそうで、濃淡や光のとおし具合など、その場で見られてよかった。 影響されて、染め物を始めた。 染めるのは手間暇がかかり、濃い色…

生誕120年 安井仲治@愛知県美術館

関西で活躍した写真家、安井仲治の作品を一挙展示。 今見てもかっこいい。 デジタル合成がない時代、どのように複数の画像を重ねていたのか。 技法についても、会場の小冊子でわかりやすく解説されていて、理解がはかどった。 www-art.aac.pref.aichi.jp

見る異化作用「福田美蘭―美術って、なに?」@名古屋市美術館

動かす、別の角度から見る、固定観念を払う。 全体がそんな作家のコンセプトに貫かれた展覧会。 おもしろかったが、他の作家の作品のなかに福田美蘭作品がある方が、そのものの見方のぎょっとさせる力が強まるのでは、と思った。 art-museum.city.nagoya.jp

「クーばあちゃんの魔法の花空間~庫淑蘭切り絵展~」@日中交流会館

中国の伝統的な切り絵と共通したモチーフもありつつ、オリジナリティと精巧な画面構成で芸術の域に達した庫淑蘭の作品展。 陝西省農村部の民俗行事の様子や、モチーフも面白い。 庫淑蘭の作品が認められたのは、最近だからか、過去の作品は状態があまりよく…

生誕100年 山下清展ー百年目の大回想@SOMPO美術館

ドラマ「裸の大将」のイメージが強い山下清の、人生と画業をそのまま伝えようとする展覧会。 貼絵以外の油絵や、陶器への絵付けなどの作品も展示されていた。 貼絵は実物をみると、その精巧さに感動する。 山下の旅の日々を感じられた。 www.sompo-museum.org

朝鮮が日本に植民地化された時代の物語「PHANTOM ユリョンと呼ばれたスパイ」

韓国の俳優たちが、前半はほぼ全編日本語で、韓国併合時代の人びとを演じる。日本の人は過去日本がした加害に向かい合う映画体験になるかも知れない。 みんな創氏改名させられて日本名を名乗り、職場の会話や映画館のアナウンスも全部日本語。韓国の役者が日…

2023年 よかった展覧会

今年は62展覧会を見た。 人気展覧会は早めに見に行くことが大切だと、年始のディオール展で肝に命じた一年だった。 よかったものをご紹介。 「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」@東京都現代美術館 早めに見てよかった大賞。夢のような展時空間。 …

ずっと同じ戦争の中に「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」

すごい映画だった。今年ベストかも。ぜひ見てほしい。 戦後すぐの日本、血液銀行に勤める水木は、出世のため龍賀製薬の跡継ぎを決める場に立ち会おうと、哭倉村にやってくる。ときを同じくして、鬼太郎の父も行方不明の妻を探し、村を訪れる。異様な村の雰囲…

2023年 よかった映画10

今年は全部で61本見た。 よかった映画10本選んでみた。 14本になってしまったので、そのまま紹介。 ミセス・ハリス、パリへ行く いくつになっても、人生はときめきに満ちている! THE FIRST SLAM DUNK いわずもがなのすごい映画。監督すごい…

生活は美たりうる「暮らしにとけこむ型染 ―芹沢染紙研究所の仕事―」@芹澤銈介美術館

「365日の献立日記」を見ていたら、もとになった沢村貞子さんの献立日記が映された。それは芹沢銈介の型染めカレンダーで丁寧にカバーされていて、その図案がすてきで、いつか美術館にも行きたい、なにか芹沢の図案のものがほしい、と思っていたのだった。 …

この演技を見よ『市子』

三年付き合った恋人からプロポーズされた翌日、市子は失踪した。恋人は、警察に届けを出すが、川辺市子という人間は存在しないといわれてしまう。 市子を、杉咲花が演じる。 とにかく、すべての役者の演技がよい。 主演はもとより、恋人役の若葉竜也、母親役…

「糸で描く物語 刺繍と、絵と、ファッションと。」@ 静岡県立美術館

すごくよかった、というおぼろげな記憶。 最初に民族衣装に見られる刺繍など、続いてアートや現代のファッションとしての多彩な刺繍を展示。 人の手と時間がどれほどかかるのか、わからないほどの手仕事の見事さ。 ポスターにも使われている大塚あや子(刺繍…

とびたくん!「翔んで埼玉 琵琶湖より愛をこめて」

今年の感想、今年のうちに、というわけで短評。 虐げられし埼玉が千葉など周辺県と手を結び、東京の圧政にたちあがった前作から、まさかの続編。 今回は関西を舞台に埼玉解放戦線が滋賀の勢力と協力して大阪府知事の陰謀に立ち向かう。 よく作ったなあ、とい…

二つの祖国の狭間に生きた女性の物語「東京ローズ」

フルオーディションで選ばれた6人の女性が、第二次世界大戦中に日本の対米ラジオ番組のDJを務め、戦後アメリカで国家叛逆罪に問われたアイバ・トグリの不屈の人生歌う。 あたりまえだが、出演者の歌がみんな圧倒的迫力。 うまい人の歌はよい。 それぞれ決め…

書くことで、真実を見つめはじめる「ポエトリー アグネスの詩」

イ・チャンドン監督特集上映で見る。 ミジャは、遠くで働く娘に代わって中学生の孫を育てている。介護の仕事もしながら、詩の教室に通いはじめる。しかし、同級生の自殺に孫が関わっていることがわかり、彼女は詩作を通して、これまで見ないようにしてきた真…

夢の感覚「倉俣史朗のデザインー記憶のなかの小宇宙」@世田谷美術館

インテリアデザインの先駆者、倉俣史朗のいろいろな作品が見られる展覧会。 倉俣が残した夢日記やデザインラフが展示されているが、あまり細かいところまで詰めずに、思いついたときのイメージ、造形をそのままに制作していくらしい。 だからか、どこか浮遊…

犬をいじめる者には報いがある 映画「ジョン・ウィック コンセクエンス」

暗殺者協同組合こと、主席連合のお尋ね者となったジョン・ウィック。かつての友(真田広之)の大阪コンチネンタルホテルに潜伏するが、もう一人のかつての友(ドニー・イェン)が追っ手としてやってくる。 かくして凄腕暗殺者三人は、戦うことになる。背後には、…

「石川真生 私に何ができるか」@オペラシティアートギャラリー

大琉球写真絵巻が圧巻。 沖縄に生まれ、沖縄に生きる人々、沖縄の基地にやってきたアメリカ軍人とその家族、基地に反対する人々を撮ってきた写真家、石川真生の東京では初の大規模展覧会。 撮影者が感じられない写真ではなく、すべてにおいて、一人の人間・…

眼福「コスチュームジュエリー美の変革者たち  小瀧千佐子コレクション」展@パナソニック汐留ミュージアム

古典的なデザインを脱し、宝石や貴金属を素材とせず、新しい造形、素材の組み合わせで、革新的な美を表現するコスチュームジュエリー。 20世紀に花開いた、その魅力をコレクター小瀧千佐子の蒐集品で見せる展覧会。 眼福である。 必ずしも高価ではない素材が…

ねこを称えよ『マーベルズ』

おもしろいパーツはいろいろあるが、うまく組み上がっておらず、全体としては、あまりうまくいっていない映画だった。 キャプテン・マーベル(ブリー・ラーソン)は、宇宙を飛び回り活躍していたが、あるとき、時空の裂け目で不思議な光に触れてしまう。時を同…

奇抜なのは髪型だけ?「メデューサデラックス」

ワンショット撮影で、ヘアスタイルコンテストの最中に起きた殺人事件とその顛末を描く作品。 ヘアスタイルコンテストが舞台だけあって、奇抜な髪型をいろいろ見られるが、ストーリーはそれほどでもなく、ワンショット撮影も効果的かというと微妙だった。 www…

青地が中砂を好きなだけ『ツィゴイネルワイゼン』

士官学校教授の青地(藤田敏八)は旅先の浜で殺人の疑いをかけられる友人・中砂(原田芳雄)を助ける。中砂と青地は鰻を食べながら、弟の葬儀から帰ったばかりの芸者小稲(大谷直子)に話を聞く。服毒自殺した弟の骨は、焼いたあと次第に桜色に色づいていった…

世間が礫となってあなたにふりそそぐなら ムニ「ことばにない」後編

前編を見て、一年後の後編。 亡き恩師の残した文章を元に、舞台公演をしようとする4人の女性。恩師はレズビアンで、その事を快く思わない姪の議員が妨害しようとしてくる。レズビアンへの差別、結婚相手への違和感、親の介護など、問題が降りかかるなかで、…

名品しかない時間がいくらあっても足りない「特別展やまと絵」@東京国立博物館平成館

どこを見てもよいものばかり。見ごたえしかない。 会期中、展示替えもかなりあり、どこで見に行くのか、何回いけばいいのか悩ましい。 第一期は「鳥獣戯画(甲巻)」「伴大納言絵巻」「信貴山縁起絵巻」「源氏物語絵巻」の四大絵巻が揃い踏みするので、ひとま…

すっきりと「イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル」@国立新美術館

ファッションは流れ去っていくが、スタイルは永遠となりうる。 というのは、イヴ・サンローランのことば。 ディオールの急逝により、若くしてブランドのチーフデザイナーとなったイヴ・サンローラン。最初のコレクションで高い評価を得るが、ほどなく徴兵さ…