ときよとまれ

みたもの、きいたものなどのまとめブログです(映画、演劇、展覧会 感想備忘録)

ずっと同じ戦争の中に「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」

すごい映画だった。今年ベストかも。ぜひ見てほしい。

 

戦後すぐの日本、血液銀行に勤める水木は、出世のため龍賀製薬の跡継ぎを決める場に立ち会おうと、哭倉村にやってくる。ときを同じくして、鬼太郎の父も行方不明の妻を探し、村を訪れる。異様な村の雰囲気のなか殺人事件が起こり、鬼太郎の父が捕まってしまうが……。

龍賀の富の源である血液製剤M、そして龍賀家の秘密とは?

 

今年は、『君たちはどう生きるか』『窓ぎわのトットちゃん』と戦争を背景にしたアニメ映画が公開されたが、この2作は戦時中子どもだった監督や作者の体験がもとになっている。

『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』が大きく違うのは、戦時中大人だった人間、兵隊として人を殺し殺されそうになり、生き残った人間が主人公であり、原作者であるということだ。

 

戦争に兵隊として参加した水木しげる、その作品に流れる日本という体制、そこで生きる人びとへのまなざしが、今回の映画制作者にも受け継がれている。

兵隊が帰還してきて、つぎは企業戦士に仕立てあげられていたのだな、と日本の戦後に思い至る。

 

キャラクターの魅力、ホラー表現などエンタメ作品としてのサービスがもりもりでありながら、日本の歴史や社会と物語の接続もしっかりされているという点で、韓国映画っぽさも感じた。

 

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