ときよとまれ

みたもの、きいたものなどのまとめブログです(映画、演劇、展覧会 感想備忘録)

2023-09-01から1ヶ月間の記事一覧

個人美術館のよさ「シャガール展」@静岡近代美術館

静岡で衣料品店とパーキング業を営むという大村明氏の個人コレクションの美術館。 静岡駅から程近い、閑静な住宅地にある。 内外の近代絵画がメインで、行ったときはシャガールの展示をしていた。ほかにも梅原龍三郎、レオナール・フジタなどの絵もあり、二…

美術館はすごいが、、@MOA美術館

熱海は若者の町。というほど若い人が多かった。 MOA美術館は世界救世教の美術館。本部に隣接している。創始者岡田茂吉が芸術も好んだということで、いろいろ名品があるらしい。「顕神の夢」展に続き、宗教者と芸術の関わりを見る。 「紅白梅図屏風」は2月だ…

真におぞましきは 映画「骨」「オオカミの家」

「骨」と「オオカミの家」の同時上映。 「骨」は、発掘された映像を修復したもの(という設定)。チリのかつての権力者を、ある少女が骨からよみがえらせ、ひとつの契約を消す。 「オオカミの家」は、あるコロニーから逃げ出した少女マリアが、なんとか自力で…

わからないという自由「あ、共感とかじゃなくて」@東京都現代美術館

わかりそうで、わからなくて、でもそれもいやではない。 そんな気分になる展示。 印象に残ったのは、就職フェアのような企業ブースを模した有川滋男の作品。一見してわからない仕事をしている動画が流れていて、わからないけれど、当事者にとっては大切な仕…

悪魔は冗談を嫌う「ヴァチカンのエクソシスト」

実在のエクソシスト、アモルト神父をラッセル・クロウが演じるホラーミステリー。 ある教会に引っ越してきた家族に異変が起きる。息子の様子がおかしくなり、悪魔を名乗る。ヴァチカンから派遣されてきたアモルト神父と、現地のトマース神父は、怯える家族と…

宛先の強度「あなたのアート誰に見せますか?」@東京芸術大学陳列館

明確な宛先があるものは、届きやすいのか。 そうでもないのでは、というのが本展の感想だが、私が宛先になっていなかっただけかも知れない。 メラニー・ボナーヨの作品が強烈なのは、身体感覚のある者すべてに訴えかけて来るからだろう。ネット上の感想をい…

ボーダーを越えて行け『木ノ下歌舞伎 勧進帳 2023ver.』

歌舞伎や能など日本の古典演劇をもとに、現代劇の役者が現代の身ぶりで演じる木ノ下歌舞伎で、何度か再演されている「勧進帳」(アフタートークつきの回)を観てきた。 80分ほどでコンパクトで、古典を知らなくても、知っていても面白い舞台だった。 兄の頼朝…

「虫めづる日本の人々」@サントリー美術館

虫と虫に関わる人の営みを描いた絵や蒔絵など日本の美術館を集めた展覧会。 入ってすぐ虫の声が聞こえて典雅な気分。 植物の絵に蝶以外の虫もいろいろ書き込まれているのは、ふだんあまり意識していないので面白かった。 また、虫取に興じる女性たちを描いた…

かわいいでは終わらない映画『マルセル 靴をはいた小さな貝』

引っ越し先で見つけた小さな貝のような生き物。ひとつ目の彼は人の言葉をしゃべり、マルセルと名乗る。主人公は彼の動画を撮りはじめる。彼は離ればなれになった家族を探すため、主人公に協力を求める。 実写とストップモーションアニメを組み合わせた作品。…

静かな超能力バトル「イノセンツ」

ノルウェーのサイキックホラー映画。 ある団地に越してきたイーダは、重い自閉症で意思の疎通もできない姉アナのめんどうを見るよう言われ苛立っていた。休暇の時期で人は少なかったが、イーダは別の棟に住むベンと友達になる。一方アナもアイシャという友達…

ヒロインも人間なので『人間ぎらい~メランコリックな恋人 喜劇5幕~』

フランスの古典演劇「人間ぎらい」、初めて観たが面白かった。 主人公アルセストは虚飾をきらい、とにかく正直に思ったままを口に出すことをいとわない。そのため社交界の人間関係に馴染むことができず、友人フィラントの常識的な人付き合いのしかたを批判し…

寝込みを襲う虎のような女「エリザベート1878」

宮廷生活に押し潰され、苛立ち疲れ果て、旅に出るオーストリア皇妃エリザベート。 宝塚のミュージカルでも有名な人物を、史実とはずらした作劇で描く映画。 エリザベートは疲れ、苛立ち、それでも自由を手に入れるため、もがく。 原題は『コルセット』であり…

「出来事との距離-描かれたニュース・戦争・日常」展@町田市立国際版画美術館

印象に残ったのは、ゴヤがスペインの対仏独立戦争を描いた『戦争の惨禍』と松元悠が実際のニュースをもとに描いた作品。 見聞きしたニュースを自分がさらに他の人に伝えるとき、表現によって、ニュースは変化する。絵でなくても、ちょっとしたことば遣いで内…

色気は男が出すもの 『仕掛人梅安』

藤枝梅安シリーズがテレビで放送されていると、つい見てしまう。 バイオレンス時代劇としてテンポよく面白い。 冒頭、ある仕掛け(殺し)の仕事で、父の仇と狙った浪人にとりこまれ、お稚児のように扱われている少年が出てくる。少年の母の依頼で浪人は殺され…

討論はこんなに面白い!『ベスト・オブ・エネミーズ』@ナショナルシアターライブ

すごい面白く、洗練されていて、遠くから撃ち抜かれるよう。 上映期間が短いので、興味があれば素早く見に行った方がいい。 ボールドウィンの言葉が重い。 業界最下位の放送局の新企画は、大統領選前の共和党、民主党の党大会にあわせ両陣営の論客を生番組で…

物語に身をゆだねて 映画「古の王子と3つの花」

現代のどこか、工事現場が見えるところで、語り手が聞き手に問いかける。 どんなお話がいい? 聞き手は好き勝手にこんな話!といっていき、語り手は3つのお話を語り始める。 古代エジプトのファラオの話、中世フランスの領主の息子の話、そしてトルコで国を…

小さいものは小さいまま「デイヴィッド・ホックニー展」

小さいものは小さいまま見せる方がよいのでは、と思った。 ipadで描いた絵はとくに、実寸の方がたぶんだいぶよく見えるはずだ。 壁画や大きな絵も、遠くから、見る方が、いい絵に見えると思う。 細かく見ると、とてもざっくり描かれているのに、遠くから全体…