ときよとまれ

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ポジティブで社会派な映画『コール・ジェーン』

人工中絶が違法だった1960年代アメリカ、弁護士の夫と高校生の娘と暮らす裕福な主婦ジョイは、妊娠とともに、心臓病が悪化し倒れる。このままでは命も危ういと、悩みながらも中絶を望むが、病院の理事会では手術は却下されてしまう。困り果てたときに目にしたのは、道端に貼られた電話番号。それは、妊娠で困った女性を助けるジェーンの秘密の番号だった。

 

テーマ性ははっきりしていて、映画としても面白い。

このまま妊娠を継続すると死にかねない主人公の目前で、「中絶手術を認めたのは過去に一件だけ」、「100%死ぬわけではない」とタバコをふかしながら手術を拒む理事会の男たちシーンの他人事感、ジョイや電話してきた女性たちを親身になって助ける「ジェーン」たちのシスターフッド、その運営のための苦労や電話してきた全員を助けられないもどかしさ。とても丁寧に描かれていて、ままならなさもあるけれど、それでもやっていこう!という希望と連帯を描いていて、よい。

 

ジョイを演じたエリザベス・バンクスは、「チャーリーズ・エンジェル」「コカイン・ベア」の監督もしている。今回は、中絶を経て、活動に参加していき、どんどん生き生きしていく主人公を好演。多才である。ジェーンの中心メンバー、バージニアシガニー・ウィーバーが演じ、いつもながらかっこいい。

 

実話をもとにした物語で、映画のラスト73年の中絶の権利確定とともに、組織は解散し、メンバーは男女平等をもとめ新たな活動をはじめたようだ。

アメリカでは中絶をめぐる女性の権利、すなわち心身の自由と、選択の自由があやうくなっていて、また、日本でもジェンダー平等の道半ばの今、ぜひ見てほしい映画だ。

 

 

 

call-jane.jp