眩暈がするほどゴージャス「ムーラン・ルージュ! ミュージカル」@帝国劇場
バズ・ラーマン監督のミュージカル映画「ムーラン・ルージュ!」を舞台化したオーストラリア発の作品。
会場のセットは驚くべきクオリティ!
左に真っ赤な風車、右には象! 中央には電飾でMoulin Rougeと掲げられている。
上演の少し前から、キャバレーの踊り子と客が舞台に現れ、きらびやかでいかがわしい雰囲気の盛り場に来たぞ、という気分にさせてくれる。
アメリカから来た作曲家志望のクリスチャン(甲斐翔真)は、ムーラン・ルージュの花形サティーン(望海風斗)と恋に落ちる。しかし、店の経営を助けるため、サティーンは侯爵(K)の愛人になり、支援を受けることになる。サティーンとクリスチャンの恋の行方は?
ストーリーは映画版とほぼ同じで、「椿姫」や「ラ・ボエーム」を下敷きにしたラブストーリーだ。
特筆すべきは、さまざまなヒット曲を縦横無尽にミックスして、登場人物たちが心情を歌い上げるところ! 少ししか使ってない曲もけっこうあり、あの曲ここに!みたいな面白さもある。
今回、エルトン・ジョンの「Your Song」を松任谷由実が訳しているのをはじめ、曲ごとにKREVAやジェーン・スーなど日本のアーティストや作詞家が訳詞をしているのも贅沢だ。ユーミンの訳、「気にしないで、気にしないで~」がなんだか耳に残ったので、曲にあっていたんだと思う。
歌もダンスも、演技も舞台装置も見事だったが、特筆したいのは衣装と照明。
衣装はきわどくセクシーで、現実離れしたバーレスク的なのが素晴らしい。徹底的にかっこよく美しく、人の体を提示する。
また照明の力も大きい。歌姫をゴージャスに輝かせ、服の色が変え、乱痴気騒ぎからうらぶれたボヘミアンの溜まり場に一瞬で移り変わらせる。
アブサンの下りも照明でグラスを光らせているのでは、と思うのだが、そうだとしたら超絶技巧である。
最後にレビューがあって、嫌なやつの役も歌って踊るので、気分がサイコーにあがって帰ってこれる。
レビューとカーテンコールの楽しさは、悲しい物語は出し物で、それはもう終わり!みたいな劇中劇の枠をつくる働きがあるようだ。
とても幸せな観劇となった。