ときよとまれ

みたもの、きいたものなどのまとめブログです(映画、演劇、展覧会 感想備忘録)

演劇

ブチ上がる悲劇「イザボー」

日本発でたぶん海外への輸出も視野にいれているミュージカル。 100年戦争で疲弊したフランス、外国から国王に嫁ぐも、王は狂気に陥り、困難な運命に翻弄され、フランス最悪の王妃と呼ばれたイザボー。彼女の人生と決断を、息子シャルル7世と、イザボーと同…

見せ方がうまい 音楽劇「エル ガレオン」

人気実力派声優が、幽霊船で現れる伝説の海賊たち(黒ひげ:大塚明夫、キッド:中村悠一、ダンピア:梅原裕一郎、フローチェ:高垣彩陽)と、不老不死の研究のためにそれを捕らえようとするイギリス王太子(蒼井翔太)、迎え撃つイギリス海軍(ネンソン提督:諏訪部順…

舞台「悼むば尊し」かわいいコンビニ店員飯田さん

高校のころ、放課後つるんでいた仲間たち。時がたち、一人が亡くなり、ダベっていた部屋の片付けを頼まれる。再会した彼ら彼女らはは、亡くなった彼を偲ぶが、思い出話は思わぬ方向へ転がっていく。 ラジオを聞いて興味を持ち、観に行く。とてもよかった。 …

二つの祖国の狭間に生きた女性の物語「東京ローズ」

フルオーディションで選ばれた6人の女性が、第二次世界大戦中に日本の対米ラジオ番組のDJを務め、戦後アメリカで国家叛逆罪に問われたアイバ・トグリの不屈の人生歌う。 あたりまえだが、出演者の歌がみんな圧倒的迫力。 うまい人の歌はよい。 それぞれ決め…

世間が礫となってあなたにふりそそぐなら ムニ「ことばにない」後編

前編を見て、一年後の後編。 亡き恩師の残した文章を元に、舞台公演をしようとする4人の女性。恩師はレズビアンで、その事を快く思わない姪の議員が妨害しようとしてくる。レズビアンへの差別、結婚相手への違和感、親の介護など、問題が降りかかるなかで、…

ボーダーを越えて行け『木ノ下歌舞伎 勧進帳 2023ver.』

歌舞伎や能など日本の古典演劇をもとに、現代劇の役者が現代の身ぶりで演じる木ノ下歌舞伎で、何度か再演されている「勧進帳」(アフタートークつきの回)を観てきた。 80分ほどでコンパクトで、古典を知らなくても、知っていても面白い舞台だった。 兄の頼朝…

ヒロインも人間なので『人間ぎらい~メランコリックな恋人 喜劇5幕~』

フランスの古典演劇「人間ぎらい」、初めて観たが面白かった。 主人公アルセストは虚飾をきらい、とにかく正直に思ったままを口に出すことをいとわない。そのため社交界の人間関係に馴染むことができず、友人フィラントの常識的な人付き合いのしかたを批判し…

討論はこんなに面白い!『ベスト・オブ・エネミーズ』@ナショナルシアターライブ

すごい面白く、洗練されていて、遠くから撃ち抜かれるよう。 上映期間が短いので、興味があれば素早く見に行った方がいい。 ボールドウィンの言葉が重い。 業界最下位の放送局の新企画は、大統領選前の共和党、民主党の党大会にあわせ両陣営の論客を生番組で…

眩暈がするほどゴージャス「ムーラン・ルージュ! ミュージカル」@帝国劇場

バズ・ラーマン監督のミュージカル映画「ムーラン・ルージュ!」を舞台化したオーストラリア発の作品。 会場のセットは驚くべきクオリティ! 左に真っ赤な風車、右には象! 中央には電飾でMoulin Rougeと掲げられている。 上演の少し前から、キャバレーの踊…

ただ愛するのはお金だけ!『守銭奴 マネークレイジー』

映像で観た。 守銭奴アルパゴン(佐々木蔵之介)は、召使いをこきつかい、息子(竹内將人)と娘(大西礼芳)はいずれ金持ちと結婚させて持参金をせしめようと考えつつ、お金を溜め込んで暮らしていた。そんなある日、アルパゴンは近所の若い女性と再婚をしたいとい…

6時間は短い「新作歌舞伎 ファイナルファンタジーⅩ」

配信で見る。 6時間あるので、配信のほうが自分のペースで見られて良い可能性もある。 ゲームは未プレイ、ストーリーも知らずに観たが面白かった! ファイナルファンタジーⅩ、こんな話だったのか。 未プレイだが、なんとなく想像するに、重要シーンに絞って…

2022 年間ベスト 演劇の部(配信、映画版などふくむ)

今年見て良かった舞台。あんまり見てないので、少なめ。 『歌劇 ブエノスアイレスのマリア』@座・高円寺 配信 ピアソラのオペラ。ものすごくかっこよかった。朗読の男性が朗々としていい声だったが、本業は研究者らしい。すごい。 『だからビリーは東京で』@…

年若い人のエネルギーの多さと急なリリカルさがよい 「わたしの星」ままごと

BS松竹東急で放送されていたのを観賞。 こういう舞台を流してくれるのはありがたい。 ある中学で文化祭の発表の練習に集まった生徒たち。夏休みが終わる直前だ。ななほは、これまでずっと一緒だった同級生のスピカに明日転校すると、告げられる。火星に行く…

ムニ「ことばにない」前編(作・演出:宮崎玲奈)言葉になってこなかったことを 消されたレズビアン当事者の声

劇評を見て、滑り込みで観賞。満席。 10分休憩を2回挟んで、3幕、4時間。 長丁場だが、退屈しなかった。 日本に生きてる人にとって、とても切実な舞台だと思う。 高校の演劇部で出会い、今も一年に一度の公演をしている女性4人。演劇を中心に活動している…

創造したものを殺しなさい NTL2014『フランケンシュタイン【クリーチャーver.】

ベネディクト・カンバーバッチが、フランケンシュタイン博士が創り出した怪物を演じる、ダニー・ボイル演出の舞台。フランケンシュタイン博士(ジョニー・リー・ミラー)と怪物が逆になるバージョンも同時に上演された。 舞台を映像にしたものだが、映画監督が…

わるい夢のような愛から覚める、あるいは異性を演じることは滑稽か『スカーレット・プリンセス』東京芸術劇場

『桜姫東文章』をシネマ歌舞伎で最近見た。 へんな話である。前世で僧侶と稚児が心中しようとするが、稚児は死に、僧侶は死にきれない。生き残った僧侶は偉くなって、出家希望の桜姫と出会う。桜姫は名家の娘だが、家宝を奪われ跡取り(兄?)が殺され、世をは…

行き詰まってるけど、みんな生きている『ガラスの動物園』(新国立劇場 海外招聘公演)

イヴォ・ヴァン・ホーヴェ演出、イザベル・ユペール出演の『ガラスの動物園』を見た。 とてもよかったので、ブログを始めることにする。 『ガラスの動物園』は以前にも見たことがあり(ローラ役は深津絵里だったと思う)、繊細できれいだけど、センチメンタル…