フルオーディションで選ばれた6人の女性が、第二次世界大戦中に日本の対米ラジオ番組のDJを務め、戦後アメリカで国家叛逆罪に問われたアイバ・トグリの不屈の人生歌う。
あたりまえだが、出演者の歌がみんな圧倒的迫力。
うまい人の歌はよい。
それぞれ決めの楽曲があり、個性的な歌声で、各年代のアイバ・トグリを演じていく。
特に印象的だったのは、シルビア・グラブ演じるアイバ・トグリが、日本の対米プロパガンダに協力した罪の裁判のためにアメリカに渡るときに歌う「Crossfire」。生まれ育ったアメリカ、たまたま開戦時にいたために長く留まることになった両親の故郷、日本。
二つの国とその争いに引き裂かれた身の置き所のなさ、しかし、歌うその姿からは、この先の裁判と市民権回復までを戦い抜く強さを感じた。
同じ時期のアメリカの日系人を描いた「アリージャンス 忠誠」は群像劇で、さまざまな考えをもつ集団としての日系人に焦点があったが、本作は一人の女性アイバ・トグリと彼女の生にフォーカスする。
どんなときも自分の人生を生きること、また名誉回復のためには諦めずに世界が変わるまで長生きすることも大切、とも思った。
その他の登場人物、男性を含めて女性が演じていたが、特に違和感なく、ハーモニーも素晴らしかった。
年内最後の観劇になると思うが、よいものを見られた。