ときよとまれ

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香港アクション映画の師匠たち『カンフースタントマン 龍虎武師』

いい映画。

 

映画産業で、これまでスポットライトの当たらなかった人々を取り上げた映画が最近多いが、これは香港アクション映画のスタントマン(武師)に取材したドキュメンタリー映画だ。

 

ブルース・リーサモ・ハンジャッキー・チェンなどがつくった往年のアクション映画を取り上げつつ、その製作過程でいかにスタントマンたちが体を張っていたか、その鍛練、スタントマン同士の師弟関係が描かれる。

 

吹き抜けのデパート三階から、本物の硬いスケートリンクに背中で落ちる。

ビルの七階から爆破にあわせて複数人で落ちる。下は段ボールとマットレスを積んだもの。

ワイヤーなどない。

 

そうして、誰も見たことのない映画で、一世を風靡した香港映画は、やがて経済状況や撮影規制のために、勢いを失う。香港で活躍していた映画人たちのなかには、今はハリウッドや中国本土で、映画をつくっている者も多い。

文化は社会の状況を反映する。

もともと、日中戦争のときに、中国本土を逃れた京劇役者が香港へ多数やってきて、子どもたちに武術を教えたのが、はじまりだという。

京劇の師匠たちは映画には否定的だったというが、食べていくためには仕方ないと弟子たちにいったそうだ。日本との戦争が奪った文化もたくさんあったのだろう。

 

 

できないとはいわない、それが香港のスタントマンだ。と作中言われるが、トム・クルーズが自分の体を張った作品にも、その姿勢が受け継がれているような気がした。

 

スタントの待遇についても、かなり問題がある。先年の映画『スタントウーマン』でも同じことがいわれていたが、問題があると認識させることから、すべてが始まると思う。

 

 

 

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