あとがきによれば作家活動を中止している著者の、読むと痛みを感じるほどの短編集。
「これが私たちの愛なんだってば」が、痛烈。ある日、逆らいようのない存在に囚われ、狭い部屋に監禁された50代男性。その存在は、彼がダウンドッグというヨガのようなポーズをすると喜ぶ。
建築の専門家だった男性は自分の能力で、その存在に認められようとするが……。
ほめてるんだから、愛して(やって)いるんだからいいじゃない。
という訳ではない。
愛されかたも、選びたいものである。
いいたいことを伝えるのではなく、なにかを感じさせるのに、小説は向いている。