駆け込みで観に行く。
リアリズムではなく、スーパーリアリズムを模索した画家、植竹邦良の展覧会。
幻想的にもみえる、執拗に繰り返され画面を覆い尽くすモチーフは、安保闘争のさなか寝転んだ東京駅のドーム天井や、通勤電車、戦時中の東アジア地図など、現実そのものである。
植竹がさまざまな要素を取り込み、変形させ、統合して描かれた絵は、今も批評や象徴の鋭さを失っていない。
作品に繰り返し登場する虚無僧は、もともとは安保闘争のときに顔をおおって活動した人々を象徴する。私たちは、同じものを香港の民主化運動でも、見た。
いくど挫折しようとも、虚無僧はどこかに現れる、ということかもしれない。