実話をもとにした物語。
ある朝目覚めると、身に覚えのない痣や傷、性器からの出血がある。年齢を問わず集落のほとんどの女性に同じことが起きるが、男たちは「思い過ごし」「悪魔の仕業」などと取り合わない。しかし実はそれは家畜用の強い麻酔を使った連続強姦事件であり、犯人たちは逮捕される。
集落の男たちは、犯人を保釈させようと街に出かける。その男たち不在の二日間のうちに、女たちは今後どうするか、話し合いをする。
出ていくか、闘うか、なにもしないで赦すか。
ある宗教コミュニティを舞台にしているが、女たちの話し合いに出てくる言葉は、現代のわれわれが、目にするさまざまな意見と同じだ。
赦さなければ自分も救われない、とか、話しても男たちはわからないだろうとか、被害にあったことを大袈裟にいっているとか。
ほぼ前編、薄暗い納屋でさまざまな年齢の女たちが話し合っているだけなのに、ものすごくスリリングな映画だった。
また、唯一書記として参加している教師の男性の役割も重要だ。
少年たちの教育をになう彼が(このコミュニティでは女性は教育を受けられない)、このコミュニティの男尊女卑の文化を変えていけるのか。
女たちは話し合いを記録させて、これから必要とする人々に残そうとする。
この映画も同じ役割を持つものだろう。
今生きている人々に未来は託されている。