ときよとまれ

みたもの、きいたものなどのまとめブログです(映画、演劇、展覧会 感想備忘録)

最高です、ソクト刑事 映画「犯罪都市 NO WAY OUT」

シリーズ第三段。

今度の敵は、日本のヤクザと、癒着した汚職刑事。

ハイパーと呼ばれるドラッグが日本から持ち込まれ、広がってしまう。マ・ドンソク演じるソクト刑事は、事件を追い始めるが、薬は、暴力団横流し品で、東京の組長はその回収と横流しした組員、そして韓国の密売パートナーの片付けのために、殺し屋を送り込む。

かくして、日本のヤクザ、送り込まれた殺し屋たち、韓国の薬密売パートナー、そしてすべてを殴り倒すソクト刑事の攻防が始まる。

 

今回の敵もかなり凶悪で、やたらたくさん出てくるのだが、もうマ・ドンソクがいれば、どんなに凶悪な犯人もどうにかなるので安心してみられる。悪人が、最後まで強気なのが、スカッとする見心地のもとだと思う。

細かい笑いがちりばめられていて、サービス精神旺盛。アクションシーンもたくさんあって、今回は刀対拳が見物だった。

今回も殴るときの音がすごくて、映画館で見られてよかった。

 

tokiyotomare.hatenablog.com

 

 

 

hanzaitoshi3.com

音楽が希望になる 映画「シング・ストリート」

不況のアイルランド、離婚秒読みの両親、学費が払えず荒れた学校に転校した主人公は音楽と友達と出会い、恋、自由、未来を夢見るようになり、行動を起こしていく。

 

監督の自伝的映画で、当時の音楽がたくさん使われる。主人公が新しいバンドにハマるたび、自分たちのバンドのビジュアルも変わるのがたのしい。

さわやかな青春譚だが、アイルランドの状況が通奏低音として響く。

 

 

 

 

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時間がたくさん含まれる映画「瞳をとじて」

前半、けっこう寝てしまった。

つまらない訳ではなく、心地よい。

一瞬たりとも目が離せない、緊張が続く映画とは違い、寝ても許してくれそうな感じがした。

 

もと映画監督の作家は、ある映画の撮影中に失踪し、今も行方のわからない俳優を探すため、テレビ番組にでる。俳優の娘や映画仲間に会い、さまざまなことを話す。やがて、いなくなった俳優に似た人がいると情報がよせられるが。

 

作中作の映画の質感、なんとはないカフェでの会話、主人公が犬と暮らす海辺のトレーラーハウス、部屋に差す光。

人生の時間は豊かに流れていく。

せかせかした気持ちとは対極にあるような、時間の豊かさ、映画への信頼がつまった映画だと思った。

 

 

 

 

 

gaga.ne.jp

絢爛豪華な映画「哀れなるものたち」

身投げした女性の体に、胎児の脳を移植し、よみがえさせられたベラ。彼女は、その手術をした天才外科医のもとで養育されるが、世界を体験するために、遊び人の法律家と旅にでる。

 

どこを見ても美しい密度のある映像。ベラの纏う服や、部屋の内装、現実とはどこか違う旅する街街。

 

物語は「常識=偏見」の歪さを、拡大して映し出す。生きてることは、哀れなことだとすると、死からよみがえらされたベラは、哀れなるものであり、また彼女の出会った人びとも哀れである。作中息を引き取った人だけが、解放される。

 

先日読んだ木村敏『異常の構造』に「常識とは生きたいという意思によってできている」というようなことが書いてあったが、一度死んだベラ、生きはじめて間もないベラは、死に近く常識を知らず「異常」な存在であり、やがて言葉を知り、人と話し、さまざまな体験をして生きることになじんだら、その異常さは鳴りを潜めていく。

これは女性の解放の物語というより、異常な存在が社会化されて馴らされていく物語だと思う。

この世は異常な存在が異常なままでいられない、馴化の力が強く働く世界なので、見る人もその方が安心する。

 

原作も読んでみよう。

 

www.searchlightpictures.jp

 

ブチ上がる悲劇「イザボー」

日本発でたぶん海外への輸出も視野にいれているミュージカル。

100年戦争で疲弊したフランス、外国から国王に嫁ぐも、王は狂気に陥り、困難な運命に翻弄され、フランス最悪の王妃と呼ばれたイザボー。彼女の人生と決断を、息子シャルル7世と、イザボーと同じ時代を生きた養母ヨランドが振りかえるミュージカル。

 

凄くおもしろかった。

基本的にイザボーは悲劇的といわれるような運命をたどるが、そこに彼女の決意と生きるエネルギーを読み込んだ戯曲で、望海風斗が見事に体現している。ヨランド役の那須凛は初ミュージカルということだが、イザボーとふたりの曲は、歴史のなかの女性を力強く描いていてよかった。

ラストシーンがバッチリ決まって、元気になって劇場を出た。

 

しかし、フランスだけに限らないが、国民は外国からきた王妃にアタリがきつい。マリー・アントワネットもそう。政治が失敗したとき、影に女性や外国人、他者を読み込みがちなのでは。

 

 

 

isabeau.westage.jp

ドーナツ食べたい映画「ファースト・カウ」

アメリカ西部開拓時代。たまたま知り合った白人料理人のクッキーと、中国人移民のキング・ルーは、その地域に連れてこられた最初の乳牛のミルクを盗み、入植者たちにドーナツを売り始める。ドーナツは評判を呼ぶが。。。

 

滑らかにうつろう風景と人生。事件もあるが、二人で家事をしたり、ドーナツの用意をしたりする、なんとはないシーンが見所だと思った。冒頭キノコをとるときの音がとてもよく、森の中にいるようだった。

 

 

 

firstcow.jp