ときよとまれ

みたもの、きいたものなどのまとめブログです(映画、演劇、展覧会 感想備忘録)

香りが過去と今をつなぐ『ファイブ・デビルズ』

「愛のかげり」を二人が歌ったとき、愛を確信した。

 

主人公の少女は、母親が大好きだ。でも母は夫とうまくいっていないためか、いつも浮かない顔。フランスの田舎の村で父が黒人、母が白人のため少女は、学校では疎外されていて、居場所がない。

少女が熱中しているのは、香りを集め、調合する事だ。

そんなある日、父の妹がやってくる。母と昔何かあったようで微妙な空気に。少女は叔母の香りを調合する。それを嗅ぐと気を失い、気づくと十数年前、母たちが高校生だった時代にいた。

少女は、香りを嗅いで、過去にもどり、母と叔母のあいだにあったものに迫っていく。

 

言ってしまえば、それは恋で、いまだに二人は愛し合っている。

ある事件が二人を引き裂いても、炎は燃え尽きていなかった。

 

それぞれ取り戻した大切なものを抱き締めて物語は終わる。

最後の光景を見ていた少女は過去の叔母か、あるいは未来の娘か。

 

超能力もののジャンル映画でありつつ、恋愛映画であり、山々や凍てついた湖の風景の美しい映画でもある。映画館で見るのをおすすめしたい。