ときよとまれ

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男たちへの恐怖が呆れへと至る新感覚ホラー『MEN 同じ顔の男たち』

男性の方が、エッジのきいた嫌悪感や恐怖を感じられるかも。

本作が入念に描くミソジニー(女性嫌悪)的振る舞いを重ねる男性たちは、女性には、ある程度見慣れた風景であり、現実に存在している。

作中に出てくる、タンポポの綿毛のように。綿毛の描写、ホントに気持ち悪かった。

 

作中の同じ顔の男たち、そして主人公の夫は、自分自身の感情、怒り、悲しみ、欲望なのに、主人公のせいにして転嫁し、さらには「愛してほしい」などという。

だれかを見て欲望しているのは自分なのに、相手が誘惑したなどと取り換えてしまうのはなぜだろう。

 

その支離滅裂さは、まさにホラーだが、現実にも、ものすごくたくさん存在する。

 

ミソジニーは、男性だけでなく女性にも根付いていて、女性はまったく悪くないのに罪悪感を抱かれされたりする。

ポスターで主人公が着ているピンク色のワンピースを見て、「こんな、男性になめられそうな無防備な服を着たらまずいのでは」などと思ってしまったが、それも女性側に負担を強いる考えだ。

どうして加害するものたちに配慮して、服装を、振る舞いを変えなければならないのだろう。

 

やはり持つべきものは、勇気づけてくれる友だちと斧だ。

 

なお、同じ顔といっても、雰囲気がかなり違う(演じ分けスゴイ)ので、最後まで、ほんとに同じ顔かな、と思いつつ見た。

 

現代において広告などでは「男性の身体」は避けられがちらしい。たしかに、女性が半裸に近い姿をしている広告はすぐ見つかるが、半裸男性がメインビジュアルの広告は、あまりない。

本作も影響を受けたという『進撃の巨人』では、その異物感、嫌悪感を存分に生かしていたが、なぜ男性の身体、特に中年以降は忌避されるのかは、気になるところだ。

 

 

ラストの衝撃シーンは、別の描き方のほうがよかったような。

(以外ネタバレ)

 

 

 

 

 

 

 

出産を恐怖として描くのは、本作のテーマに合っていないような気がする。ミソジニー男たちが、出産していくおどろおどろしい場面だが、恐怖として描くにしろ、聖なるものとして描くにしろ、出産を特別視するのは、切り離しと蔑視だと思うので。

最後に駆けつけた友だちが、妊娠してるのもちょっとノイズに思えた。

 

 

 

 

 

 

 

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