ときよとまれ

みたもの、きいたものなどのまとめブログです(映画、演劇、展覧会 感想備忘録)

お母さんハーレム映画『君たちはどう生きるか』

いろいろなタイプのお母さん、お母さん的女性が出てくる宮崎駿のハーレムもの。

半ば引退しているだけあって、趣味的な映画だと思った。

 

主人公は不思議な塔に招かれ冒険するが、主要な女性登場人物は母及び母的である。

火事で死んでしまったお母さん、父の再婚相手で母の妹である義理のお母さん、屋敷で働くおばあさんの一人が塔の中で別の姿になった人は小さな丸いものの面倒を見ている。

そして極めつけは、塔のなかで出会う少女の頃のお母さん。宮崎駿映画でよく描かれてきたように、少年と少女は助け合って進むが、母と息子かあ、と思うとなんとも微妙な心地がする。

 

たった一人の真のお母さんを求める映画、という訳ではなく、さまざまなタイプのお母さん的女性に当たり前のように、主人公が面倒を見てもらっているので、ハーレムものの一種だと思われる。

 

男性はほとんど、鳥の姿をとる。主人公の父は人の姿だが飛行機を作る工場をやっているらしい。塔の世界の主は、空から来た石に魅入られている。男性は、空や飛ぶことに紐付けられている。

 

タイトルである❰君たちはどう生きるか❱という問いへの答えはおざなりなまま、お母さんに囲まれ、少年は帰還する。

 

恋人にお母さんの役割を求める男性は多いが、ここまでダイレクトに描くのも今時めずらしいなー、と思った。

思想性や新しさは薄く、印象に残るのは母恋しさ、母を取り戻したいという欲望ばかり。そういう意味でも趣味的な映画なのだろう。

 

 

www.ghibl